ステージだより
8月も残り僅かとなりましたね。
ステージでは女流陶芸家、小川さち子さん髙芝孝子さんの窯「紅彩窯」(こうさいよう)さんの展覧会が始まりました。
八ヶ岳倶楽部のスタッフも大好きなお二人の器。
驚くほど違う作品の個性はそのまま窯の魅力に繋がっています。
最初にご紹介するのは小川さち子さんの作品です。形や色が落ち着いた作品は手の込んだ作り方をしています。
良く見ると粘土を紐状にし編んだり並べたりする「紐作り」という制作方法。
紐状にした粘土は乾きやすく、制作にはスピード感が必要なのだそう。
編んだ後は平らにし形を整形していきます。
細い線は蚊帳で付けた跡。釉薬で浮き出る模様や雫の様に釉薬が溜まり、個性的な表情がでてきますね。
作品は毎日使いたいお皿やカップお茶碗など。
花器や茶器、高芝さんとのコラボの茶香炉など雰囲気は一段と深みがあって、好きな方もきっと多いと思います。
どのかたちの器も本当に細やかな手仕事にため息が出るよう。
ぜひ手にとって確かめて欲しい小川さんの作品です。
次にご紹介するのは髙芝孝子さんの作品。
高芝さんの魅力は、素朴な表情とモダンな雰囲気が同居しているところでしょうか。
まるで土の中から出て来た様な器の表情や、作られてから長い時間が経っている土器の様な雰囲気があります。
時には建築物の様な雰囲気の作品も。
シックな色味と楽しげな形、そんな作品から作家さんの人柄が見えてくるそんな気がしませんか!?
時にははじけた作品もあります。
絵は転写紙を使っていますが、その配置や柄あわせは「作家さんでなければこうはいかない」といったもの。
また上から土灰釉(どばいゆう)を設すると少し絵が流れて不思議な雰囲気になります。
草花が秋風に揺られているようにも見えますね。
高芝さんもカップやボールお皿などの食器。
オブジェの様な個性的な花器。灯りなどもあります。
ユーモアのあるこちらの作品。花も陶器で出来た寄せ植え(笑)です。こんな作品が玄関やリビングにあったら住んでる人はもちろん、家を訪れたお客様も楽しくなり、会話が広がりそうですね!
今回お二人共通の新作は土鍋。紅彩窯という同じ窯の二人が同じ土鍋を作り、その個性の違いを存分に味わって頂けます。
(写真上:小川さち子さんの土鍋)
(写真上:髙芝孝子さんの土鍋)
ヤマボウシの実が少しずつ赤くなり晩夏と初秋の風を行き来する倶楽部の雑木林。
そんな中で是非二人の作品をご覧ください。(本間)
まだ陽射しは強く感じますが、林の中では少しずつ秋の気配もでてきました。そんな中ステージでは職人展がはじまりました。職人であり作家である三宅治良さん。もう20年以上前からギャラリーに常設して頂いているステンドグラスの作家さん。
ステージでの職人展をご提案下さった方でもあり、職人さん達を引っ張てくださる存在です。日々の暮らしの中でステンドグラスを楽しめるところは沢山あります。
ランプなどはその代表ではないでしょうか。ガラスの色は沢山の種類があり配色によって表情は様々。
コンセントに直接設置できるフットランプも照明として、常夜灯としてとっても魅力的な灯りです。
トレーやアクセサリーなどの作品もありラインナップは豊富ですが、パネルこそ三宅さんの真骨頂なのです。
クラシカルなデザインのステンドグラスから、日本的なモチーフのステンドグラスも魅力的。
家の中のガラスが入っている部分には、ほとんどステンドグラスが入れられると思って大丈夫。玄関扉、階段の明りとりの窓、キッチンや化粧室の窓、バスルーム・・・沢山ありますよね。
三宅さんらしい瑞々しいステンドグラスで家の雰囲気を演出してみませんか?!
次にご紹介するのは櫻井満さん。
わらの灰釉など、天然素材を活かして器を制作される陶芸家です。生地となる土は濃い色の茶色、その上から青白い釉薬が繊細に覆っています。
釉薬の跡が線状にまるで今も流れている様な表情。またお茶碗の外側には雫の様な結晶も。
窯の中はどんなだったかな・・・と思わず想像してしまいます。
繊細さがあるのに、安心感も同時に感じさせてくれるから不思議な器。
見た目は質量を感じますが、手に取ると思った以上に軽く手に収まりやすくて驚きます。
中身が入って丁度いい重さになるといった感じ。
私も実際にご飯茶碗を毎日使っていますが、ご飯が本当に美味しく感じますよ!
見て使って楽しい器。様々な種類があり酒器も魅力的ですね。
花器ではダイナミックな作品や、額縁になった面白いアイディアのものも人気です。
ぜひ手にとって確かめて欲しい櫻井さんの器たちです。
衣類を含め染めものも身近な存在、毎日接していますね。色は個性も引き出す大事な要素。
「橙録屋」齋田二郎さんの染め作品を見るとそんな身近だった「染め」を違う次元で感動させてくれる、そんな方です。
良質な正絹を使用し、「手描き友禅」「すりぼかし」「引き染め」等様々な技法を織り交ぜ、また名水を使って一枚一枚丁寧に染められます。丹精込め染められた作品の表情は艶やかで鮮やか。手触りはなんとも言えない滑らかさです。
代表的な作品は優れた機能性が再認識されている「風呂敷」。使う機会が減ったとは言え日本人なら必ず一枚は持っていますね。
齋田さんの人気は現代にあった作品を提供してくれるところです。ショールは年齢問わず女性に人気。ぼかし染めでは使う方のセンスで出て来る色目を様々にアレンジして1枚で何通りもの配色を楽しめます。手描き友禅では職人の手仕事と人柄、温もりを感じる事ができ特別な一枚に。
もちろん和装だけでなく洋服に合わせて頂けて、男性だってカッコよく身につけていただける配色もありますよ!
ワンポイントで凄く上品になりますが、小物も合わせるとよりおしゃれですね。
和小物も年々充実しています♪
毎年進化を続ける齋田さん。今回バラの絵がお目見え。
海外でも展覧会をして欲しい!そんな風に感じてしまう、職人さんであり作家さん。
お人柄も魅力的なので是非会いにいらして下さいね。
さて今日最後にご紹介するのは職人展初登場「カサエブロス」杉浦慶典さん。イージーオーダー靴の職人さんです。イージーオーダー靴とは聞きなれない言葉ですよね?!
完全オーダーメードだと高価になり過ぎますよね。既製品とオーダーメードを組み合わせて出来上がったシステムだそうです。
イージーとは言っておられますが、手で計測してひとりひとり違う足の細かな部分まで採寸し、そしてひと針ずつ丁寧に仕上げてくれます。もうオーダーメードと言って良いんじゃないかな!?と思う位に丁寧。つま先やかかとなど側面の部分は金槌で叩いて少しずつ少しずつ整形していきます。
出来上がった靴を見ると何処か丸味や温かさを感じると思いませんか。
また杉浦さんの魅力は豊富なラインナップ。男性の靴も女性の靴も形、素材、色、様々。
それでもまだ「こうして欲しい」という希望があれば素材変更や仕様変更にも対応してくれます。
これだけの手間のかかり方で25,920円から9万円位までと決して高いと感じさせません。作り手の顔が見えるのもうれしいですね。
倶楽部で初めて靴というジャンルを紹介する事ができました!!
是非お気に入りの一足を杉浦さんにオーダーしてみてください。期間中職人さんたちの実演が見られるの職人展の魅力です。
夏のなごり、秋の気配を感じながら、職人さんたちの手仕事を見てください!(本間)
木陰が涼しく落ち着いた雰囲気は雑木林の夏の風景です。
そんな中ステージでは夏の風物詩ともなっている高泉幸夫さんの水彩画展がはじまりました。
高泉さんは年に1度八ヶ岳倶楽部だけでしか個展を開かない作家さん。倶楽部の森を愛してやまない方のお一人です。水彩画というと淡い画風を思い浮かべる方も多いかもしれません。
高泉さんはそれとはまったく違ったスタイルで色を何層、何十層も重ねる独自の描き方。深く、透明感がありその場の空気の温度、湿度まで感じられる様。
絵には春夏秋冬がありますが、どれも落ち着きのある雰囲気です。春の到来は嬉しいもの。でも高泉さんが描くと春欄満という感じとは一味違います。
ミツバツツジそんなしみじみと感じる春が描かれている様。冬の絵は雪の降る音が聞こえそうですね。
写真は高泉先生。水辺の風景も神秘的な作品で、こちらは今回のDMになった作品です。
静かな水辺にささやかに咲く花や草。瑞々しさが伝わってきます。水の流れる音やしぶき、ひんやりとした冷気が伝わってくる様な作品も。
お花の絵も優しく柔らかなレンゲショウマからアジサイ、姿香りが華やかでやはり美しいバラなどバリエーションも豊富です。
落ち葉の絵は本物と間違えてしまうほどの質感で秋の温もりを感じます。
紅葉した葉に比べるとそのまま描いても高泉さんらしい作品にはならい緑の葉。
背景を同系の濃い深い色にし、葉は切り抜いたものが立体にコラージュされています!葉一枚にこだわり抜いた作品です。
そして今まで沢山の作品がお嫁入りしている「倶楽部百景図」。題名こそ百景図になっていますが、もうとっくにそれ以上の数が描かれています。
それでも「そうそう、こんな倶楽部の風景あるある!!」と毎年感じさせてくれる高泉さんなのです。
ひとつひとつじっくり見ると、本当に細かく丁寧に描かれています。
高泉さんの絵を見ていると気持ちが落ち着いてくるのは私だけでは無いのでは!?
感じ方は観る方それぞれのものでもありますね。是非お気に入りを探してみてください。
15日間開催する高泉さんの水彩画展、ステージでお待ちしております!(本間)