2009年08月08日(土) 山梨日日新聞掲載
色鮮やかさ増す夏の高原

やっと下界に追いついた。
 1カ月も遅れてスタートした八ケ岳の春(桜が咲くのが5月ですから!)。じわじわと追い上げてきましたがついに8月、横一線にならびました。春から秋へのマラソンの折り返し地点。高原の季節はここから追い越していくのです。
 季節の移り変わりは野の花が知らせてくれます。早春には早春の、梅雨には梅雨の花が咲く。それは山の中も下界も同じこと。可憐な野の花はどんな天気予報よりも正確で情緒あふれる季節の知らせです。
 八ケ岳では春から秋まで花が途切れることはありません。常に何かが咲いています。
 特に8月の高原は楽しい。梅雨に咲くアジサイやウツギがまだ咲き乱れ、夏の花アサマフウロやフシグロセンノウが濃い緑に鮮やかな色をさします。そしてなんと秋の七草オミナエシまでもが夏の高原に参加してくるのです。まさに花だらけ。
 八ケ岳の夏は花畑!
 高原のすがすがしい風の中咲き乱れる花を見ればきっと僕じゃなくっても浮かれてきます。気がつけばスキップ!?
 しかしっ!
 毎年浮かれている僕は、今年もまた反省することになるのです。アリとキリギリスの話を思い出しながら。
 なぜ高原の夏は花畑なのか? なぜ秋の花が早々と夏に咲くのか? 理由があるはずです。下界では暑い夏は花を咲かせません。
 それは...春が遅く秋が早い高原ではのんびり休んでいる時間は許されていないからなのです。夏休みなんてとっていたらあっという間にくる秋の寒さにあわてることになるから。
 どこかドキッとする覚えがありませんか? 夏休みの宿題が夏の終わりにのしかかってくるような。ひとりうなだれて過ぎ去った夏を後悔するような経験が。あぁ今年もやっちゃった...。
 8月の終わりにはなんとシラカバの葉が黄色く色づき、そしてハラハラと散ってくるのです。みるみる林の中が明るくなってきます。うっそうとした夏の林が木漏れ日あふれる秋の林になるのです。短い夏の終わりの合図。
 いつになったら僕は、この夏の花畑を地に足着けた心で眺めることができるようになるのだろう。小学校から夏休みの過ごし方が全く変わっていない自分にあきれます。
 そんな子供のような僕にとって、八ケ岳の野の花はいつになっても僕の先生。可憐なあこがれの先生。

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