柳生真吾の八ヶ岳みどり通信

2009年10月10日(土) 山梨日日新聞掲載
無数の秋色日本人の原風景

茜色、紅海老茶、紅柄色に煉瓦色、小豆色、深緋、曙色や赤朽葉...紅樺色なんて素敵な名前の色もある。これ日本の伝統的な赤系の色の名前の一部。あと黄色系や茶色系も合わせたら...。うーん、日本の紅葉を表現するにはかなりの熟練が必要そうだ。
 正直、僕ら家族で作ってきたこの雑木林は秋の色の豊富さが自慢です。また赤や黄色、オレンジだけでは言い尽くせない色の多さは、僕たち庭を作ってきた者へのご褒美でもあります。わが子のようなたくさんの種類の木々が、競い合うようにしてこの日に輝いているのですから。
 紅葉の色の豊富さというのはそのまま木の種類の豊富さと言えます。
 たいてい紅葉の名所といえば、国内外問わず「真っ赤」とか「真っ黄色」ですよね。確かに目を見開くような見事な景色ですが、そこに冒頭のような微妙な名前の色はありません。
 僕はこの写真のような絶妙なグラデーションを見せるわが家の雑木林こそ、日本の風景のような気がしてならないのです。このような風景を繊細に味わう日本人の感性こそがあの数々の素敵な名前を生みだした、と。
 ちなみに木の種類が多いということは虫も増えるのです。それぞれの葉っぱにはそれぞれ違う虫が付きますから。するとそれを食べる大きな昆虫、そして鳥の種類も増えます。またそれを狙う生き物も顔を出すようになったりして。カブトムシを捕りに走りまわる子供もその仲間か。なんだか林がにぎやかですね。これを生物多様性といいます。
 家庭菜園がブーム。庭でガーデニングを楽しむ人も増えました。こんな声があちこちから聞こえてきます。「畑は雑草との戦いね」「どれが植えた花でどれが雑草だかわかんないよ、これじゃあ」なんて。
 実はこれは日本でしか聞かない話。ガーデニングのメッカ、イギリスではあんまり雑草生えませんから。
 それってみなさんうらやましいですか? 僕は全然。むしろ雑草が困るくらい生えてくる豊かな日本の環境に乾杯です!
 たくさんの雑草、そして野の花、覚えても覚えても覚えきれない木々の名前。これ全部僕たちの誇りだと思うのです。つまりたくさんの種類の植物が生えるにぎやかな景色こそが日本人の原風景。
 無数の色が折り重なったわが家の紅葉を見て感慨深い思いになるのはそのせい。あぁ日本人だなぁ...なんて。
 すみません。自分の庭の自慢話が壮大になりすぎました。以上です。終わります。あーはずかし...

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