柳生真吾の八ヶ岳みどり通信

2008年09月13日(土) 山梨日日新聞掲載
毒々しいキノコの正体は

20080913_019_1.jpg20080913_019_2.jpgいつからだろうか? この毒々しい色のキノコを見ただけで、おなかが「ぐぅ」って鳴るようになったのは-。キノコ狩りは八ケ岳に住んで十五年になった今も一人では行きません。やはり毒キノコが怖いから。見分ける自信がいまだに持てないのです。これまで何度もキノコ名人に教えてもらっているのに...。経験がものを言う世界なんですね。
 そんな中、唯一自信をもって食べることができるのがこの「タマゴタケ」。もう何年も前から家の庭にニョキニョキと出ていました。毎年決まってニョキニョキ。でも確実に毒キノコだと決め付けていました。無理ないですよね。この色ですから! 僕にとっては庭の飾りにくらいしか思っていませんでした。ほら、飾りにはピッタリの色だ。
 ある時、僕の庭でうずくまっているおばさんがいました。恐る恐る声を掛けてみると...。ニッコニッコの笑顔で「ちょうど食べごろよ!」と。ここは僕の庭。そこに勝手に入ってキノコを採ってる。しかも植えた花を踏みつけて!
 でも、この時だけはなぜか怒ることを忘れ、「食べられるのですか?」と聞くことしか思いつきません。「こんなにおいしいキノコを食べたことないの? よかったら一本食べてみる?」。それうちの庭のキノコなんだけど...、と思いつつも「うれしい! ありがとうございます」と。
 早速、近所のキノコ狩り名人が営む居酒屋に直行。「料理してくれませんか?」。出てきた料理はシンプルにバターソテーでした。先にその人に食べてもらいます。信用していない訳ではないのですが、一応ね。
 その人の笑顔と無事を確認して恐る恐るはしを伸ばします。「うまい!」。そのしっかりした食感と臭みの無い味わい。これは最高のキノコです! 多分洋食にもピッタリだ。インターネットで調べてみてもその味を絶賛です。
 あの僕の庭でニッコニッコしていたおばさんの気持ちが分かりました。気持ちは分かったけれど、できればもう庭には来ないで! このキノコはわが家のものだから、ね。
 本当はみんなにも教えたくなかったのだけど...。「タマゴタケ」...。おいしいよ。

最近のアーカイブ記事

掲載日付別