柳生真吾の八ヶ岳みどり通信

2008年08月09日(土) 山梨日日新聞掲載
トンボの楽園いつまでも

20080809_014_1.jpg20080809_014_2.jpg標高1350メートル。僕のフィールドがある八ケ岳南ろくは、八月に入るとトンボの楽園となります。夏休みを利用して遊びに来た子供たちは大喜び!
 そのトンボたち、人をあまり見たことがないせいかみんなノンビリしています。指を出せばそこに止まるし、そのまま足をつかめば簡単に捕まえることができるんです。三十分頑張れば、誰でも虫かごいっぱいに採れますよ。
 トンボ採りをしている子供たちを見ているとあることに気がつきます。虫かごいっぱいのトンボを必ず最後に逃がしているのです。誰も「逃がしてあげたら」なんて言っていないのに。すぐにまた採れるから、って思うのでしょうか? やっぱり「生き物がたくさんいる!」っていうのは子供のやさしい心を育てるんですね。
 ところで、八ケ岳では夏しかトンボを見ることができないって知っていますか? このアカトンボ。幼虫時代はもっと標高の低い田んぼや池で過ごし、初夏、大人になった瞬間、この若々しい「黄色い」アカトンボは山を目指します。人間が避暑地を目指すように。
 ではアカトンボたちは僕らのように涼しい場所を求めているのでしょうか? 実は「涼」よりも「虫」。雑木林はエサとなる小さな虫の宝庫だ! ということを知っているのです。
 無数に飛んでいるトンボたちのおなかを満たすだけのエサがここにはあるということ。夏中たっぷり栄養をつけると体が充実してきます。そうして秋を迎えるとあら不思議。体が真っ赤に染まって里の田んぼに帰っていくのです。産卵という大仕事のために。
 ある夏の日、ここ八ケ岳でもトンボが全くいない場所があることに気付きました。手入れのされていないやぶや松しか生えていない人工林には一匹も飛んでいない。トンボは全くこのような場所に魅力を感じていません。無視です。虫がいないのでしょうね。これは無視できない話です。
 ではどんな所にいるか? 良く手入れをされた明るい林、昔で言う「裏山」のような環境が大好きなようです。きっとそこにはたくさんの小さな虫が飛んでいる。だからトンボがやって来る。だから子供も網を持って歓声を上げる。
 そして子供の心が豊かになってくる...。
 いつまでもそんな環境を保っていきたいものです。

最近のアーカイブ記事

掲載日付別