柳生真吾の八ヶ岳みどり通信

2008年04月12日(土) 山梨日日新聞掲載
高原に春呼ぶカタクリ様

20080412_015_1.jpg20080412_015_2.jpgさぁいよいよカタクリ様の季節です!
 その昔、実際にカタクリの球根からかたくり粉を作っていたとは、ものの本で読んだだけのこと。その貴重な花はもうすでに球根をすりつぶされることなくいろいろな人に愛されています。何でも今はジャガイモから作るとか。
 どのくらい貴重かというと、カタクリのタネが落ち、芽が出て成長、翌年また伸びて冬を越す。そうやって地下の球根が人差し指くらいの大きさに育つまでなんと十年近くかかるのです。かたくり粉を作るにはそれが大量になければなりません。
 毎年好きで植え続けている僕からすると、そうしてあの粉を作る行為は、足がガクガクするほどのこと。僕は一切かたくり粉のない世界を選ぶことでしょう。
 そんな貴重なカタクリだからこそ、冒頭のように「様」をつけるかというと、それだけではないのです。
 標高一三○○メートルの冬の厳しい八ケ岳の自宅ではもうかれこれ半年も緑を見ていないのです。植物の命に飢えています。四月のはじめ、この花がうわぁーっと、地面から顔を出した時の感激といったら!
 「あぁよくぞまたお姿を見せてくださった...」「お変わりはございませんか?」「困ったことがあったら、何でも行ってくださいませ」「カタクリ様...」-という気分になるのでございます。
 極端な話、カタクリ様が春真っ盛りの五月とかに咲く花だとしたらどうだろう?
 やっぱり呼び捨て!?

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