柳生真吾の八ヶ岳みどり通信

2008年03月08日(土) 山梨日日新聞掲載
植物のしたたかな冬越し

20080308_021_1.jpg20080308_021_2.jpg毎年感心するのは、植物たちのしたたかな生きざまです。例えば凍えるような寒さに耐える木の芽たちは、昨年の秋よりずっと前には出来上がっているのですよ!
 高原の夏を謳歌(おうか)し、秋に赤や黄色に色づく華やかな木々たち。でもしたたかに来年の春のための準備をとっくに終えていたのです。それはまるで「アリとキリギリス」の物語。いやアリとキリギリスの両方をやってのけているのです。「華やか」で「したたか!」
 シデコブシの芽はこんなに暖かそうな毛皮のコートをまとっていました。中に隠した新芽は何より大切なものだから、絶対に寒風で枯れてしまうようなミスは許されません。それはそのまま「死」を意味します。でもこれだけフワフワなら今年の寒さからでも十分守ることができそうです。
 トチノキの冬芽は要注意です。指で触ったら大変! ベタベタで簡単には離れませんよ。実はこの粘着質の液で芽をくるみ、寒さから守っています。
 でも大切な芽を守るのは「寒さ」からだけではないのだ、と僕が気がついたのは最近のことでした。そう。鳥や動物からも守らなければならない。森に餌がなくなる冬は動物たちも必死です。木の皮や、時には木の芽もかじって体力をつけなければなりません。
 そんな動物の必死な気持ちを知ってか知らぬか...。タラノキやバラは全身トゲだらけになることを選んだのです。おかげでシカも鳥も近づくことができない。悠々と冬越しできるというわけ!
 ホントに自然界にはいつも驚かされます。何事も意味があり、それは完ぺきです。
 いや、ちょっとミスがあった。タラノキは新芽がおいし過ぎました。そしてバラは花が奇麗過ぎました。それを狙って春になるとどうやら人間がやけに近づいてきます。これには木々たちも想定外か...。

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